中国税関総署がライセンス使用費の評価弁法を公布

税務総署はライセンス使用費に係る関税の取扱いを明確にする新たな規定を公布しました。当該規定は中国関連業務を行う外国企業にとって関心のある内容といえます。

当該新規定は2003年7月1日より施行され、中国のWTO加盟以来、最も影響力をもった中国税関に関わる法規であるといえます。

当該規定は、「中華人民共和国輸入貨物のソフトウエア費に対する税金徴収免除に関する暫定弁法」(署税[1993]15号)に代わるものであり、ライセンス使用費の定義、ライセンス使用費が関税の課税対象となる条件または課税免除となる条件に関して規定しています。

ライセンス使用費の定義

本規定でいうライセンス使用費とは、輸入貨物(製品、スペア部品及び材料等を含む)の買手が特許、商標、ノウハウ、著作権等の使用権を獲得するために支払う費用を指し、輸入者/買手が支払う代理販売権費用、転売権費用及びその他の類似費用も含まれます。規定には「その他の類似費用」の内容が具体的に示されていませんが、国外企業が中国国内企業から受取るその他の費用、例えば管理費用や技術支援費等については注意を払う必要があります。

輸入貨物の課税価格に参入すべきライセンス使用費

WTOの関税評価協議に従い、下記の条件を満たす場合、ライセンス使用費は輸入貨物の課税価格に参入しなければなりません。

  • 輸入貨物と関連するもの
  • 費用の支払を、売手が当該貨物を中華人民共和国に輸出販売する条件とするもの

「輸出貨物と関連するもの」の具体的規定について

1、 特許権及びノウハウの使用権のために支払われ、且つ輸入貨物が下記のいずれかに該当するもの

  • 特許或いはノウハウを含む貨物
  • 特許方法或いはノウハウを使用して生産した貨物
  • 特許権或いはノウハウを実施するために、専用に設計または製造された機械、設備特許、ノウハウをテープ、フロッピーディスク、CD−・ ROM、その他の類似する媒体により輸入した場合、或いはインターネット、衛星等の方式によりダウンロード、配信した場合には、輸入貨物と関連するものと認定されます。

2、商標権のために支払われ、且つ輸入貨物が下記のいずれかに該当するもの

  • 商標権の付いた輸入貨物
  • 輸入後に商標を付けた後、直接転売できる輸入貨物
  • 輸入時に商標権を含み、簡単な加工の後に商標権を付けて転売できる貨物

3、著作権のために支払われ、且つ輸入貨物が下記のいずれかに該当するもの

  • ソフトウエア、文字、楽曲、図案、映像或いはその他の類似する内容の輸入貨物で、テープ、フロッピーディスク、CD−・ ROMまたはその他の類似する媒体形式を含む
  • その他の著作権に関連する内容を含む輸入貨物

4、輸入貨物の売手が保有する中華人民共和国内における代理販売権、転売権或いはその他の類似する権利のために支払われ、且つ輸入貨物が下記のいずれかに該当するもの

  • 輸入後、直接販売できる貨物
  • 簡単な加工に後に転売できる貨物

上述の「加工」がどの程度のものであれば、ライセンス使用費を課税所得に参入するのか、或いはしないのかについては、税関と議論する余地が残されています。

ライセンス使用費の支払を輸入貨物の売手が中華人民共和国に当該貨物を販売する前提条件とするということの定義について

世界税関機構常設技術委員会は長年にわたり、税関評価協議における「当該貨物の販売の前提条件」についてガイドラインを出すことを試みましたが、最終的に断念していました。

新規定は、「当該貨物の販売の前提条件」とは、買手が上述費用を支払っていない場合、契約協議の条件に基づく当該貨物の取引が成立しないことであるとしています。税関はライセンス費用が販売の前提条件であるか否かにより、当該費用を課税価格に参入するか否かを決定すると考えられますが、その審査の基準を範囲については、更に検討する必要があります。

課税価格に参入しないライセンス使用費

新規定は、税関が提供された証明書類及びデータに基づきライセンス使用費を課税価格に参入するか否かを確定するとしています。下記の費用は課税価格に参入されません。

  • 輸入貨物を国内で複・ 製するために支払う費用
  • 技術トレーニング費用
  • 国外査察費用

ライセンス使用費の申告

中国以外の各国では、通常、輸入者が自らライセンス使用費を課税価格に参入するか否かを決定し、疑問がある場合、税関に対して書面の確認書を求めることができます。

リスク管理の観点から、輸入者は新規定の公布以降、輸入申告の際にすべてのライセンス使用費申告を行わなければならないということにに注意する必要があります。また、輸入者は税関から要求があれば提出が可能なように、特に課税価格に参入しないと考えるライセンス費用について、関連データ及び根拠となる資料を準備する必要があるでしょう。

提案

新規定はライセンス使用費に関わる関税の取扱いについて明確にしていますが、各地の税関当該新規定を実際にどのように運用するのか、また一部の条項についてどのように解釈するのかについて考慮しなければなりません。旧規定の下では課税価格に参入していなかった多くの費用が、当該新規定の下では課税価格に参入される可能性があります。

専門家のアドバイスを得て、企業は税関に対して「国際慣例」及びWTOの原則に従ってライセンス使用費を正しく評価するように求めることができるでしょう。

現在、ライセンス使用費及びその他の類似費用を支払っている企業は、新規定の下で増加する可能性のある勘税を見積るため、支払方法を見直し、同時に、ライセンス使用費を課税価格に参入しない2つの条件(輸入貨物と関連しないこと、費用の支払いを、売手が該当貨物を中華人民共和国内に輸出販売する条件としないこと)について税関と議論するための準備をする必要があります。

ライセンス使用費及びその他の類似費用を支払うことを検討している企業は、税務上の合理性を保証するために支払方法の再評価を行う必要があります。

貨物の通関のおくれを避けるため、ライセンス使用費の徴税、免税に関して税関から事前に確認を得ることを検討する必要があります。

税関が検査を実施するとき、ライセンス使用費の支払或いはその他の類似費用の支払いについてまず検査することが予想されるため、この問題については早急に注意を向ける必要があるでしょう。

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